BLにできることはまだあるかい

BL系音声ドラマ感想アーカイブ

地雷系彼氏 #とは

「地雷系彼氏すずくん」
原作(漫画):かさいちあき メインCV:村瀬歩阿座上洋平
原作未読
評価:★★★★☆☆☆.5(佳作→良作)
いや最後やられたわ。あれ聴くための1時間やろこれは。

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聴き終わった時にまず思ったのは、このキャストじゃなきゃ聴けなかったなということ。
皆さんご存知で当然言うまでもないことなのだけど、村瀬さんも阿座上さんもお芝居が上手い!に尽きる。
主人公 古縞涼(すず)の陰キャコミュ障というともすればイライラや共感性羞恥を抱いてしまいそうなキャラ設定を、不快感なくデフォルメしてかつわざとらしさも感じさせないのは流石の一言。
そんな村瀬さんの素晴らしいお芝居にちゃんと同じレイヤーで受け答えしてくれる阿座上さんもとても良かった。
阿座上洋平さんは本当にテキストを音にするのが上手な人だなぁ。今回の笹室藍士もすずにやや強引に絡んでくる役でありながらも、優しさと愛情とSっ気がバランス良く共存してるから安心して聴けた。ハイスペ陽キャ×孤立陰キャカップリングはともすればグルーミングを想起させるものもあり、少しでもそう思ってしまうと途端に内容が頭に入ってこなくなってしまうので。そうならなかったのは良かった。

カップルのどちらか一方がハイトーンボイスなBL作品はこれまでも何作か聴いてきましたね。
記憶に新しいところで言えば去年夏に聴いた「猫とスピカ2」の榊原優希さん。
児ポっぽく聴こえて抵抗あるもんだろうかと予想していたところ、意外にも自然な気持ちで聴けたのが印象に残っている。
この作品での村瀬歩さんのハイトーンも、ちゃんと青年に聴こえ……いや、青年には聴こえないか?わからないな……小さい子どもでない事は分かるけど、脳がどう処理しているのかわからない。女性だと思っているのかもな。まぁ何にせよ抵抗は無かったということで。
自分はBLの登場人物を演じるのが男性声優であることにあまりこだわりは無いので、こういうハイトーンボイスが受け入れられるなら女性がやっても良いのでは無いかと思うなぁ。

さて今作のどんでん返し要素(?)、
"かっぱちゃん"の作者は藍士だったという部分。
これってみなさん普通分かるもんなん???私いつ何時でも漫然とお話を眺めているため、こういう要素に対して毎度毎度ナ、ナンダッテーーーーー!!!??!?となってしまう。
「カラーレシピ」(はらだ)とかもアホほどびっくりしましたよ。
私もすずと同じように「こんな陽キャで人気者が漫画なんて描いてるかよ(ド偏見)ご都合主義かー?」と思ったけど、誰しも周囲に見せている顔だけがその人を形作る要素では無いんだろうね。
いや本当に、私だって職場の人にBLドラマCDレビュー書いてるなんて思われてないもんな絶対。
こういうメッセージは「男子高校生、はじめての」の第13弾とも似てますよね。自分あれは「内容が頭に入ってこなく」なってしまった側の人間なんですけど……(笑)

ラストのトラックで「キスが下手だって笑うんだろ」と言うすずに藍士が「絶対笑わない」と返すシーン。
ああぁ…………阿座上洋平よ、結局な。これ聴くための1時間やろ。
私は基本声優が素で喋る場には触れてこなくて、例えば今回のおしゃべりCDも聴いていない人間なので、阿座上洋平さんの人となりを全く知らない訳ですが。
それでもこの台詞を聴くと役であるとか台詞であるとかBLであるとか全部飛ばして「きっと彼は人に対して大きな愛情を抱ける人なんだろうな」と思ってしまう。
実際はどうかわからない。そう思わせる力が凄い。
いやぁ、上手い。上手いというのは違うのかな。役者って人間力なんだなぁと大の字に寝転がって考えてしまいましたよ。私の負けです、対戦ありがとうございました。